風邪っぴきな私を見かねてか、兄が代わりに夕食をつくってくれた。
もつべきものは兄弟だ…
さて、そのDNA相同性は25%以下、の私達兄弟であるが、それでも全員に共通する部分がある。
掛かってきた電話を取る際(取り次がれたものは除く)の皆様の、第一声は何であろうか?
おそらく『もしもし』が最も多いのではないだろうかと思う。
しかし我々のそれは『もしもし』ではなく、『はい』なのだ。
その原点は我々の内の誰かが受けてきた社員教育にあった筈だが、その辺りのことはあまり憶えていない。
それも、『はい』を使うにしても普通は『はい、●※家です』となるのだろうが、姓を複数持つ我が家ではその発言は許されず、よってただ『はい』という素っ気無いひとことを発するだけなのである。
面白みはない。
人によっては、そこに空気の壁を感じてしまうような冷たさがあるかも知れない。
しかし互いに連絡を入れた時に聞けるその短い一言は、血の繋がりが薄い関係にとって何か特別な響きを持ち、我々の聴覚にあたたかく染み入るのである。